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輓馬 20240421.jpg

こごた便り

【バンバ日和】


6年前の春、初めて隣町の涌谷城山公園の桜まつりに行った時、
ポスターにでかい馬の写真と「輓馬」の文字が踊っていた。
この時点では「輓」の文字が読めなかった。
馬が荷を引く意味だろうと想像はしたけれど。

翌年は庭の手入れに忙殺(?)されてお花見は外してしまい、
翌々年からは新型コロナ拡大で各地の桜まつりは中止続き。

 

この間にごコミック「銀の匙」(荒川弘)を読んで、「ばんえい競馬」
(北海道(帯広)で行われている輓馬競争としては唯一の公営競技)
の様子を知った。そして、俄然、輓馬に興味が湧いた。

 

 

それで、今春は早くから4月21日(日)の
東北輓馬競技大会の日程を押さえていた。

 

1週間くらい前までは雨の天気予報だったのが、
どんどん晴れの方向にずれてきて、当日は好天。

今春二度目の涌谷城山公園訪問である
(輓馬大会の10日ほど前に満開の桜を見に行っている)。

 

ブリジストン号で涌谷橋まで走り、
(その先は輓馬大会のために道路が通行止めとなったので)
江合川土手に自転車を放り出して、あとは徒歩で会場に向かう。

 

河原の競技会場のスピーカーから開会式の模様が
遠くまでよく響いでいる。


9:30 開始の第一レース観戦には間に合う。

レース前に主催者から丁寧にレースの概要説明がある。
全 120m の直線コースで、最大三頭の馬が荷ぞりを曳いて競争。
途中に 120cm と 160cm の障害(土の山)を越えなければならない。
階級別に異なる重さ(300~900 kg) の荷を積んだ荷ぞりを曳いて走る。

 

御者と補助者と馬が一体となって駆け抜ける。
今大会はタイムレースとなり、走行時間の短い馬が優勝となる。
5分以内にゴールしないと失格になるそうだ。

 

第一レースは「C級」レース(750kg を曳く)で三頭出走。

 

1コース、キックバック号(宮城から出場ということで観客も涌く)
2コース、マツノハヤテ号
3コース、キンツル号

 

F1 レーシングカーと違って、走る姿がゆっくり見られるのが良い。

 

マツノハヤテ号、キンツル号、キックバック号の順にゴール・イン。

 


10:00 第二レースは「B級」(825kg を曳く)。

 

出走馬は、ソウヤ号一頭のみ。
結果はタイムアウトで、5分間での走行距離として 83.6m が公表される。

 

 

その次は「2歳馬」(300kg を曳く)、その次は・・・という風にどんどんレースが展開。
障害を乗り越えようとして、膝をついたり、転倒したりする馬も。

 


11日に来たときは、桜は満開だったものの、城山公園来園者はまばらで、
キッチンカーが3台いただけで、屋台の露店は全くなかった。

 

輓馬のこの日はほとんど葉桜の状態にもかかわらす、来園者大勢で、
キッチンカーに加えて、露店が涌谷大橋からずらりと、そして城山の中にも
沢山出ていて、すさまじいばかりの賑わいであった。

 

 

夕方まで続く競技大会を全部見るだけの体力はないので、
「スコットランドの釣鐘草(涌谷の正午の時報)」を聞いたところで帰路に就く。

 


江合川沿いを上流に向かって歩き始め、
途中で、何の気なしに神社横の細道を登ってみた。
高台からは、天気が良くて蔵王連峰迄見渡すことが出来た。

 

道の途絶えるところで、そこにお住いのご老人が日向ぼっこをしておられたので、
「すばらしい景色の場所ですね」などと話しかけて、しばし歓談。

 

「輓馬は人が集まってたか」と尋ねられ、
「大勢人が出て賑わってましたよ」と答えたら、
「今朝、散歩したけど、馬が全然来てなくて、
 今日は本当に輓馬やるのかと思った。

 昔は四時頃から馬が集まって、

 祭の気分が盛り上がっていたものだったが」
なんて話も聞かせてもらった
(昭和の昔には、朝の四時ごろから、近郊の農家さんが
一家総出で場所取りをしたりと、すごい賑わいだったらしい)。

 

「このあたりも、昔はもっと人がいた集落だったけど
 今は誰もおらんくなった」
と言うまなざしの先には、太陽光発電パネルだけが
大々的に広がっていた。

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