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こごた便り

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【ジビエ】

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就職で上京して、しばらくしてからだったと思う。
職場の先輩に連れて行かれた飲み屋で
馬刺しというものを初めて口にした。
ショウガ醤油のしみた肉という感じだった。

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そこで馬肉の事をサクラということを聞いて知った。
それから鹿肉がモミジで、猪肉がボタンということも。

 


フランスで生活をしたことのある友人から、
食用になる野生動物の肉の事をジビエと言うと聞く。
フランス料理にはジビエが色々あって美味しいという話。
ジビエという言葉との初対面であった。

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鹿、兎、鳩と延々と続く友人の話に飽きてきて、
「ジビエって漢字でどう書くんだ?地美餌か?」
と言って話の腰をしっかり折ったような気がする。
ジビエ(gibier)がまさかフランス語だとはねぇ・・・

 


ドイツの地方のレストランでは鹿の肉の料理を
出すところがあって、食したことはある。
こってりとしたソースがかかっていて、
噛み応えのある肉という味わいであった。

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また、夕方にライン川沿いの高台から降りる山道の途中で、
生きている野生鹿に出くわしたことがある。
話には聞いていたが、鹿は危険を察知すると身動きしないのだ。

その時は衝突寸前で急ブレーキが間に合った。

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近くで見ると大人の鹿の大きいことに驚く。
奈良で見たことのある日本のシカの可愛さと違って、
ドイツの鹿は種類が違うのだろうか、ゴツイ!
ぶつかっていたら車の方もただでは済まなかっただろう。

 


年初に宮城の北のはずれの有壁(ありかべ)に知人を訪ねる。
その有壁訪問の際に『くくり罠を仕掛けています』という
立て札を初めて見て、瞬時に上述のような記憶が湧き出した。

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その時、知人から、猪による被害が多く出ていると聞く。
「先週罠にかかった猪が8頭とかいたそうですよ」
「駆逐した猪はどうしているんですか」

「廃棄ですかねぇ。1,2頭なら獲った農家さんが
自分用に解体することもあるのかもしれませんが」
そんな会話もあって、ジビエに頭が巡ったのだろう。

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それに二年前の横浜トリエンナーレ(注1)で
牡鹿半島(宮城県石巻市の東南部)で鹿を獲っている方を題材にした
展示物(写真と文章とを混ぜ合わせた壁展示のようなもの)を見て、
鹿の命を無駄にしないで、それを食すべしというメッセージも受け取っていた。

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(注1)横浜トリエンナーレ
 ベネチア・ビエンナーレに触発されて始まった世界規模の現代美術展覧会。
 横浜美術館を中心に市内数か所で同時開催される。
 三年に一回の開催なのでトリエンナーレと名付けたそうだ。

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先日のテレビニュースで、青森県の地域おこし協力隊員が
地元で駆除されて廃棄される鹿肉を有効活用すべく、
鹿の解体施設を作り、運営を始めたと伝えていた。

北海道で熊の肉を使った焼肉料理を出す店ができたというニュースもあった。

何となくであるが、ジビエ文化が近年わが国にも広がっているようだ。

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そう言えば、最近オープンした石巻駅構内の喫茶店(注2)では
メニューに鹿肉が載っていたことを思い出す。
先般、石巻に行った帰りの電車待ちの時間を利用して、
そこに行って鹿肉のタコスを注文して食してみる。

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(注2)店名はリボーンアートスタンド。
 地元産の食材を使った料理と地元の石川コーヒーに加えて、
 地酒など酒類も提供する喫茶店。

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トウモロコシ粉の生地を円形春巻きみたいに伸ばして焼いたものに
独特のソースを塗り、生野菜と肉を乗せた軽食がタコスだが、
鹿肉が圧力なべで柔らかく煮てあり、食べやすく美味だった。

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鹿は牡鹿半島産だそうだ。
美味しかったとコメントしたら、入荷した肉の部位によって
その都度味が異なると教えてくれた。

 


フランスにおけるジビエは高級食材とされているそうだが、
日本ではどんなレベルの食材として普及できるのだろう。

野生動物の肉を手に入れるのは狩猟の成果次第だから、
材料の安定供給は難しいような気がする。


それに病原菌や寄生虫をきっちり排除するのは手間がかかりそう。
当然野生肉のコストは高くついて当たり前。

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それでもジビエを好んで食べましょうという人が増えてほしいと思う。
農作物や植林に害を与える害獣駆除を進めるという一面もあるので。

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