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詩のメリーゴーランド
poem on a merry-go-round
<<赤道直下の蜃気楼>>
by 若原径行
ココナツ色に 焼けた素肌
小さく膨らんだ胸を 少し得意そうに
水しぶきをあげて 時間と戯れる
碧の瞳
少女よ 君の長い髪に
刻まれてゆく 思い出
いつまでも 変わらずに いられたら
瞼に浮かぶものは 赤道直下の蜃気楼
めくるめく心に
戸惑いも何も 知らないで
詩のメリーゴーランド
poem on a merry-go-round
<< 唐変木 >>
by 若原径行
年を取るのを わすれちまったようだ
けど 時の流れは早すぎて
この娑婆は えらく(注)暮らしにくい
まずい飯と 安い宿さえありゃあ
あとの金は 酒に泡と消えるもの
若いのか 年なのか
果ては 息をしているのか
わからねぇ 俺たちも 街を行く
立ちて 朽ちて
唐変木よ
それも筋金入りでぇと クダ巻いた
(注)えらく(方言)= 非常に
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